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ルイ・ヴィトン ジャパン/ONE表参道にて、アンリ・サラ×村上隆のトークショーを開催致しました。

10月14日(金)からカイカイキキギャラリーで開催するアンリ・サラ展に先駆け、ルイ・ヴィトン ジャパン/ONE表参道にて、アンリ・サラさんと村上のトークショーが開催されました。

アンリさんが「言語を使わずに意思疎通がとれること、人とのコミュニケーションにおいては、それが原点」と語られるように、まず映像を見た後に、 制作をした背景を解説され、その変化を楽むことができるようものでした。

村上からアンリさんとの出会いや、簡単な紹介の後、早速アンリさんによりいくつかの映像作品を見ながら、トークが始まりました。
「生まれた国、民族的な問題などを盛り込んでいながら、作品そのものが持っているスピーチレスな衝撃にショックを受けた、オープンマインドでみて欲しい。」とは、村上。

言語の失敗をテーマにした初期の作品「Intervista」(1998年)。
サイレントフィルムに収められていたアンリさんの母親のインタビュー映像を、読唇術によって再現したもので、アンリさんが言語に対する懐疑心を持ち、作品による言語を減らしたきかっけになった出来事をドキュメンタリーにした作品です。

「Air Cushioned Ride」(2006年)という作品では、アンリさんがアリゾナ州をドライブしていた時に偶然出会った現象から着想を得て制作された作品です。
2つのラジオの周波数が干渉しあい、2つの曲が交互に受信される様子を記録。トラックが変わるたびに入れ替わる放送内容がもたらすドラマティックな効果を映像として記録したものです。

その後2007年には、その音楽を作曲家に依頼し、正式な楽譜に書き起こしてもらったサウンドを、実際の演奏で再現した作品「A Spurious Emission」を発表。音が音楽になる瞬間をとらえて構成していき、音楽と空間の関係をよくあらわした作品とも言えます。

「Answer Me」(2009年)
バックミンスター・フラーがベルリンに建築して、今は使われていないドームの内部で繰り広げられる、女性と男性のカップルの模様をドキュメントした作品。

この後も、「意味がだんだん逸脱していき、アンリさん自身のアイディアを追体験できるような錯覚に陥いる感覚」と村上が語るように、作品に登場する被写体が何を考えてるのかを体現できる作品が続きます。

オーバータイムになりながらも、アンリさんの原点ともいえる作品をはじめ、どのような興味をもって作品に投影しているのかを紐解く貴重なトークショーとなりました。

最後にアンリさんより、カイカイキキギャラリーで上映する作品についてお話頂きました。「音楽と建築、お互いがどう影響してるのかをテーマにした作品です。音が建築内で響き渡ると振動を起こします。私の作品の中で、いずれ音楽になる音と建造物が共鳴する事によって、たんなるバイブレーションを超える何かが生まれる事を表現したい。それは、過大な言語をもたないような視点と似ていると思います。」

カイカイキキギャラリーでの展示は、11月10日までです。
是非、ギャラリーにて作品を体感しにいらして下さい。