種を拾う

上田勇児

2020年12月04日(金)- 2020年12月24日(木)
開廊時間:11:00〜19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日
レセプション:2020年12月4日(金) 18:00〜20:00

※展覧会は終了しました。
沢山のご来場、誠にありがとうございました。

※入場人数が一定数を超えた場合、入場を制限する
場合がございますのでご了承ください。

 

上田勇児さんのKaikai Kiki Galleryでの2回目の個展を開催いたします。

上田さんの大規模な個展は、2018年11月に行いました。彼のキャリアの中で、最大かつ最も抽象的な作品の制作を完成させて、満を持しての展覧会でした。出来上がってきた作品群は、彼の魂の核が吹き出しており、大変素晴らしいものでした。

初日、沢山の観客が来てくれて、作家もにこやかにオープニングを迎えました。小さな作品がどんどん売れて行きましたが、大物は全く売れません。で、初日はまぁ、そんなもんだよね、で終わりました。
時を同じくして、ちょうどカニエ・ウェスト夫妻が来日しており、当時彼らのクリエイティヴアドヴァイザーをしていた方が上田さんの展覧会を観に来てくれました。彼女は上田作品の世界観をいたく気に入ってくれて、数個の作品を購入されて帰りました。そして数時間後、そのアドヴァイザーの方から連絡が入り、展示の内容をカニエ・ウェストに見せたら気に入ったので、プライスリストを送って欲しいとの事。すぐに手配して送ると彼女から購入可能な作品全てを買いたい、との事。

驚いたのはここからで、その時カニエは、ジャンボジェットのプライベートジェットで来日しているので、購入決定した作品は全て持ち帰りたいと。次の日の朝、あと数時間で羽田空港まで持ってきて欲しい!!えー!ということで、急遽展覧会を中止して、梱包を始めました。なので前回の上田勇児展は、正味4日しか開催されなかったのです。
カニエさんの自宅に上田さんの作品が展示されている様子は、Nexflixのドキュメンタリー番組「デヴィッド・レターマン:今日のゲストは大スター シーズン2『カニエ・ウェスト』」で見られます。ぜひチェックしてみてください。結局、ジャンボジェットのプライベートジェットには時間切れで乗せられず。しかしその1週間後、急いでシッピングを完了させました。カニエさんは番組内で自分へのクリスマスプレゼントとして購入したのだと話してくれています。

僕と上田勇児さんとの出会いは、大谷工作室さんからの紹介でした。最初は中野にあったギャラリーOz Zingaroで、2012年に大谷工作室さんキュレーションで、「アラウンド ザ 壺中天」を開催して、その中の作家の1人として会いました。そのあと2013年に同じギャラリーで上田さんの個展をこれまた大谷さんが企画しました。
最初、僕は上田さんの作品を全然好きじゃなかったんです。でも大谷工作室さんがすごくリコメンドして、ほんとにいい作家ですからやってくださいというのでお付き合いが始まり、個展を行いました。個展の最中に、ギャラリーの中で上田さんにお茶を淹れてもらう機会があって、そのお茶がびっくりするほど美味しくて。えー!こりゃなんだ!!って、上田さんに後光が差しちゃった。彼の実家が朝宮茶という京都の郊外で3代に渡ってお茶をつくっている家系で、作品全てにそのお茶の味わいが合体して、意味・意義を見出してしまったのです。それで上田さんと本格的に付き合ってもいいかなと思って。で、これまでやってきています。

上田さんに作品のテーマを聞くと、「かっこいい作品がつくりたい」としか返ってきません。40歳を超えて「それだけ?」な言葉ですが、言葉の幼稚性を凌駕し、前回の作品群は本当に神々しい芸術的な輝きを宿していました。
10年後、50年後の遠い未来に見ても、今見えている鮮度がキープされているはずです。それは作家の人生、野心、哀しみ、困窮、全てが、塊になって表出されている、ということです。
僕はこういう芸術作品に出会うための場をつくるためにギャラリー事業をやっているのですが、その立場冥利に尽きる体験ができました。ですが、前回の4日間の開催期間では、多くの人にはそれを体験していただけませんでした。

今年の6月末に、2015年から5年ほど使っていた窯を解体して、新しい窯の制作に着手し、8月に完成したばかりです。
前回の個展以降、上田さんと毎日のように密にやりとりするなかで生まれた、さらに強度のある作品をご覧いただけると思います。
是非ご高覧下さい。

村上隆

 


作家から本展に寄せて

土を捏ねて、乾燥させて、薪の炎で焼き上げます。
自然の力に晒された土は、形を変えていきます。
自然に委ねる所と、調節する所を、いったりきたりして作っています。

 


▼ご来廊の際のお願い

来廊時には必ずマスクを着用いただき、入場時には手指のアルコール消毒にご協力ください。
マスクを着用されていない場合は、ご入場はお断りさせていただきます。予めご了承ください。
また、体調がすぐれない方はご来廊をお控えください。

ギャラリー側でも、定期的な換気の実施や、お客様がお手を触れる場所のこまめな消毒、スタッフのマスク着用等の感染防止対策を行います。

*展覧会開廊日と時間について
今後の状況により、営業時間の変更などや、やむを得ず休廊となる場合がございます。

最新情報は随時ウェブサイトInstagram等でお知らせいたしますので、ご来場前に、ご確認くださいませ。

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