HERE TODAY,
GONE TOMORROW

MADSAKI

2017年5月19日 – 2017年6月15日
開廊時間 :11:00 – 19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日
レセプション:2017年5月19日(金)18:00〜

※展覧会は終了しました。
沢山のご来場、誠にありがとうございました。

イベント

トークショー

6月10日(土)19:00〜20:00
MADSAKI×荏開津広×綛野匠美
入場料無料
詳細はこちら

カイカイキキギャラリーでは、5月19日(金)より、MADSAKI個展「HERE TODAY, GONE TOMORROW」を開催致します。

1974年に大阪に生まれたMADSAKIは、幼少時に人種の坩堝のニューヨークへ移住し、パーソンズ・スクール・オブ・デザイン(ニューヨーク)を卒業後、国際的アーティスト集団Barnstormersのメンバーとして活動する経験を経て、東京とニューヨークを拠点に活動してきました。細密なドローイングから巨大なインスタレーションまで幅広く手掛け、近年は、挑発的な言葉を用いた作品や、歴史上の名画を引用した作品などを制作し、芸術の意味や作品の価値についてアイロニカルな視点で問いを投げかけてきました。

昨年2016年8月には、中野ブロードウェイのHidari ZingaroにてMADSAKI個展 ”HICKORY DICKORY DOCK”が開催され、過去の映画のワンシーン、政治家の肖像画、アーティスト村上隆のお花作品シリーズといった、様々な社会に氾濫するイメージから引用されたアプロプリエーション作品や、挑発的・風刺的なフレーズを作品化したペインティングを展示し、その政治的・社会的問題意識と、それらを超越するスプレーワークの作品群は、大きな話題となりました。

そして、今回はカイカイキキギャラリーにて、自身の妻を題材にした、プライベートな自己言及的アプローチを試みた新シリーズを展開致します。

この、これまでにはない、日本的な空間やエロスが展開する作風には、NYのストリートカルチャー、メッセンジャー体験等をバックボーンに持ち、日本とアメリカの両方にまたがるアイデンティティを抱えた作家の屈折した想いが込められており、移ろいやすく儚い日常に対する眼差しと、そこへの反骨精神が同居して、私小説的な新しい表現へと到達しています。

MADSAKIという作家の新たな挑戦を存分に発揮した展示空間を、是非ご覧下さいませ。

作家から展覧会によせて

僕は今までこの世を儚んで、むしゃくしゃする気持ちをスラングに転化してその言葉を絵にしてきた。
もしくは、過去の名画や有名人を、缶スプレーで描くことで、
自分の通ってきた美の価値にツバを吐きつけて、
やっと自分が今生きてることを確認してきた。

今回の新作の絵は、嫁さんの絵を中心に描いている。
何枚目かの嫁を描いている時、スタジオで涙が止まらなくなった。

無常。

今感じている愛や強い絆を永遠と思いたい。
でも、永遠、、、なんて絶対無くて
いつの日かガラガラと崩れてしまう。

きっと大地震が来たりして
きっと戦争が起こったりして
きっと、、、僕らがお互い心変わりしたりして

崩れていってしまうんだ。

FUCK OFF!

嫁の絵を描いていて、涙が出てきたけれども、
ノズルを取り替えてぶわ〜っと色を噴きつける。

クソな自分を罵倒して、唾棄して
とにかく色を噴き付けろ。
とにかく色を噴き付けて、
そうすることしか出来ないんだぜ僕は。

MADSAKI

村上隆からのメッセージ

僕はグラフィティが物凄く好きだ。NYで住み暮らした頃も、SOHOのキャナル・ストリートに近いあたりの缶スプレーを売ってる店によく行って、Tシャツやグラフィティの雑誌を買ったりしていた。で、自分は結構知ってる方だと思っていたのだが、後にカイカイキキの社内のスタッフで綛野匠美というのが、とにかくものすごく詳しくて、歴史やら押さえなきゃいけない事項とか教えてくれて、で、たじたじになって、それ以降、彼にいろいろグラフィティのことは聞いている。

2年前から中野の小さなギャラリーで、グラフィティ的な文脈で、僕が気になる作家を招聘するプログラムをやってきて、はや11人の作家を連れてきた。気になる、、、というのは、ネットをフラフラしてて気になるイメージを作ってる作家にアプローチしている。
ここ2年はもっぱらInstagramを回遊してて、そこでイメージを漁ってる。

そんな中で気になった、作家数名にコンタクトしてたら、Kaikai Kiki NYスタジオで作画をしてくれてるレイちゃんが「MADSAKI君、私の知り合いだよ!」と言ってきた。というかレイちゃんをフォローしてて、彼女のページで見つけたんだっけか?その一人がMADSAKIさんだった。で、作品購入したい、ということで、本人に掛け合ってもらって値引きしてもらって、めでたく意中の作品を購入した。マチスのモドキの作品だった。

購入してすぐに、それらの作品を展示する機会が来た。横浜美術館で僕のコレクションを展示する「村上隆のスーパーフラット・コレクション」だ。で、オープニングを迎えて、その日に作家が親しげに僕のところに駆け寄ってきてくれた。僕の嫌いなタイプの対応をする人だった。大きな声で馴れ馴れしく、ワーワー言ってて。で、まぁ、ははは、と受け流していた。そのコレクション展の展示風景の写真があがってきて、いろいろ見てたら、彼のマチスの作品がとにかく気になってきた。安易なモドキ作品なのに。で、綛野君(例のグラフィティに詳しい社員)にこの作家の資料を集めてほしい旨、そして作家本人に掛け合って、在庫作品を全部見たい旨を伝えてもらった。そしたら直ぐに作品を持ってきてくれて、くだらないシモネタジョークが30cm×20cmぐらいの画用紙にスプレーされた作品とかだったんだが、なんかいいね〜と、持ってきてくれた50枚ぐらいの作品の8割方を購入させてもらった。

で、しばらく置いていた。数カ月たって、もう一回見たくなったので、購入した作品全部を見渡す機会を作った。で、綛ニャン(綛野君のアダナ)と話して、作家本人と会うようにしてもらった。会って、展覧会とかする?とか聞いて、するする!みたいな。2つ返事で決まって、じゃあ来月やろうか?みたいな、わざと無理言ったら、いいっすよみたいな。で、中野のZingaroという幾つかのスペースで個展をした。作品が物凄くドライブ感があって良かったから、そうだ、僕のお花とか、モドキで描いてよって頼んだ。それも良かった。そんな感じで、やり取りをしてたら、最初の馴れ馴れしい、大声のアプローチとは裏腹な、ナイーヴな作家の本音が見えてきた。帰国子女独特のアイデンティティクライシスと、それを裏打ちするべく、必死に日本をリマインドする感覚に、なんか同胞の哀しさを観て、惚れた。彼の作家の部分に恋に落ちた感じ。

で、それからああだこうだと話したり、一緒に外国に行ったりして、仲良くなっていってこりゃ、結構、底なしの才能持ってるなぁ〜と思って、今回のカイカイキキギャラリーでの個展をオファーしました、という経緯で、今回個展します。
作風は結構普通っぽいグラフィティの雰囲気だけれども、MADSAKIのもってる悲哀が画面ににじみ出てて、とにかく哀愁があって、良い。今回は彼のこの世でもっとも好きな対象、嫁さんを描いてもらって、MADSAKIの心の奥底を覗き込む事をしてもらおうと思ってる。彼のInstagramで既に作品イメージは公開しているが、大変好評だ。という展覧会ですので、本物を観たい人は来てね。

村上隆