もっと大きな壺といつものうつわ
綻びを力に変えて

尾形アツシ

2017年11月25日(土) – 2017年12月20日(水)
開廊時間 :11:00 – 19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日
レセプション:2017年11月25日(土)18:00〜

作家から本展に寄せて

大壺の製作中、壺のお腹の辺りに小さな植物の芽が生えていた。大壺の製作には、時間が掛かるので原土の土が乾くまでに何かの種が発芽したらしい。こんな時は、粘土の中に自然の息吹というか、大地の力強さみたいなものを感じる。嬉しくなった。

これまで、粉引や刷毛目という技法のうつわばかりを作り続けてきた。それも、うつわの表面にヒビ状の割れや、石はぜ、鉄粉が吹き出たものを好んで作ってきた。うつわとしては、少々扱い難く、やっかいなものばかりだ。これを、自分では綻(ほころび)のあるうつわと呼んでいる。破綻までゆかず、繕うことが出来る程度の綻び。そんな綻びに、土の力強さが見え隠れするものに惹かれている。

ならば、土の塊そのままに、焼いて作品にすれば良いのかといえば、そうでは無く、うつわという、受け皿があってこそ面白いと感じている。
うつわというのは日常だ。
日々の暮らしのなかで、うつわの綻びのなかに、小さな自然を見つけているような気がする。うつわには、小さな綻びがよく似合う。綻びは、私にとっては喜びなのだ。     

尾形アツシ

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