作品の表現主義性が増していくということは、規律的にコントロールする強化された形式を要する

中村一美

2016年3月8日 – 2016年4月2日
開廊時間 :11:00 – 19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日
レセプション:2016年3月8日(火)18:00〜20:00

中村一美さんの2015年〜2016年にかけての新作展

とにかく、脂が乗ってきている、という表現がピッタリの今です。作品の難しいコンセプトは、本人の文面に任せるとして、そもそも抽象絵画を、 自信満々に描くことが出来る、というのは、大変なことなんですよ。画家にとって、画題=モチーフ、って、無ければ描けないという、一見、当たり前の事なんですが、その動機を持てる、しかも、それが常に革新的な可能性を秘めていることは、尚、凄いわけで、これは、画家になった人じゃないとわからんと思いますが、中村さんは1000点を超えて作品を制作し続けているので、超弩級凄いわけです。

で、その中村さんとの昔話をこの前フェイスブックの記事として書きました。以下の様な感じで、、、。。。(一部修正しています)

中村一美さんは。東京芸大での先輩。
油画科で、、、、その意味は、芸大内のカーストの最上位。
僕は日本画。芸大内の最下層カースト。

8年前、カイカイキキギャラリーを開始する時に、中村さんに展覧会やってもらいたくて打診をし、数回、お会いして食事もしたりして、お、なんかいい感じ。いよいよ展覧会、出来るぞ!と思ってたら、封書で、6枚ほどの手紙が送られてきました。

内容はというと、、、、

村上と話してる最中は我慢してたが、今一度思い返すとあれもこれも不愉快になってきた。お前のものの言い方は慇懃だが、基本は無礼である。絵柄に関して過去に戻ってどうこうせよなど言語道断。お前の思い通りになるものか!

という内容がぐるぐる回って便箋にびっしり書き込まれていました。
うわ!まぁ、なんかわかる気がしたので、もうこりゃアカン、、、と、諦めてました。

そしたら、2014年。中村さんが新国立美術館で個展を開催するという10日ほど前に手紙が来て、展覧会を見に来て欲しいとのこと。オープニングに行くのは憚かると思ったので、こっそり中日ぐらいに観に行きました。展覧会はスペクタキュラーで、結果としてその展覧会で2015年芸術選奨文部科学大臣賞受賞をしてたりするぐらいの、大規模なものでした。で、手紙で感想を書いて送ると、「会おうか」という返信。

なんか、昔惚れてて、ふられた彼女に会おうかと言われたような複雑な気持ちで、数年ぶりに再会、、、ドキドキドキ。。。。
「村上に展覧会、一緒にやろうって言われて、俺は連絡来るの待ってたんだよ」、、、って、嘘や!
あの、ブラックメールなんやったんや?

でも、わかる。その心持ちの変化。
しかも激変化。

アーティストってなんかのきっかけで、心持ちが激変化するんですよね。うんうん、、、僕にもよくあります。そういう変化。
なので、この機を逃してなるものか!と、速攻で個展を決めて、やっていただいたのが2014年9月の個展でした。その後もLAのBLUM&POEでも個展の開催をお手伝いしたり。。。とかなんとか。。。

という、文面をフェイスブックに書いて、
その文面をフェイスブックをやらない中村さんに送ったら、こういう返事が来ました。

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村上隆様、こんばんは。

村上さん。
あのような経緯を世間に公表してしまって!まぁ、良いか!(笑)
とは、いうものの世間は、このような激変を喜ぶものですよね。

確かに、村上さんとの「仕事」を一緒に始めるにあたっては、紆余曲折が大いにあったわけですが、それも、また、作家同士が関わる場での、戦いの一形式だったんでしょうね。
読んだ、人々は、大いに喜びますよ、こういう話は。
しかし、村上さんとの共闘以降の関係は、皆もきっちり理解してくれていると思いますよ!
誰からも、苦情や、文句は言われた事はありませんから!

さて、小さいことですが、一か所だけ村上さんの勘違いがあります。(責めているわけではありませんよ、念のため)
2014年の1月に、村上さんの方から、「あれから4年経ちましたが、どうしてますか?私の気持ちは変わっていませんけど・・。」みたいな、新年のあいさつ的なメールをくれたのですよ。
探して、再送しても良いですけど。。。

それで、私も、国立新美のご案内を差し上げたわけです。(でも、数年間あれからずっと、村上さんのオファーを、実は真剣に、人知れずいつも考え続けていたことも確かなのですから。このまま、国内に埋もれるのか、それとも、村上隆のいう事を聞いて、賭けに出てみる方がいいのか、、、。村上さんの言葉で最も印象深かった決めゼリフは「死んでから認められたいのか、生きているうちに、それを見たいのか!?」でしたよ)
しかし、ブラックメールを読んだ時の、村上さんの撃沈ぶりには、もう少し配慮すべきだったかもしれないですね。
ごめんなさい。

中村一美
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なんと!前記事で書いた内容は、、、振られた女(中村一美さん)に突然よりを戻したい(新国立美術館に来てね、という打診)と言われたので、どうしようかと逡巡した、、という記憶だったのだが、事実は、、、、
ワシが中村さんに未練がましく、「また会いたいの!」とかなんとか、メール送ってたという。。。

わかる!(って、記憶が錯綜してたんで)
俺、そういう未練がましいトコあり過ぎな人間。。。。

という、昔話なだけなんですが、今は、最初に書いた様に、脂の乗った旬なマグロのような作品群がドンドン出来てきておるわけです。
是非、その最新版の進化した抽象絵画作品を見て欲しいのです。

村上隆

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