King of limbs

井田幸昌

2020年2月13日ー2020年3月3日
開廊時間 :11:00〜19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日
レセプション:2020年2月13日(木)18:00〜20:00

※展覧会は終了しました。
沢山のご来場、誠にありがとうございました。

作家から本展によせて

本展覧会は風景画を中心としています。
自然がつくりだす無数の音、無限の色彩、有機的な線の構成や空間。自然は、私に宇宙の成り立ちと、圧倒的な実在感を感じさせます。この自然を前にした時に感じるリアリズムを、本展覧会では追求しています。

カンバスに引かれた一筋の線、無数の色彩、迫り出す絵具。
時にはこれまでとってきた絵画手法を切り捨て、全てをもって作品の中に宇宙を生成する試みです。

ステイトメント

私はこれまで「一期一会」をメインテーマに、自然や、肖像画をモチーフとした絵画制作をしてきました。「一期一会」とは、一生涯にただ一度会うかどうかわからぬほどの縁や、出会いを大切にすることを意味します。これは日本の古典的な概念です。
今回、新たなシリーズとして風景をモチーフとした抽象画に挑んでいます。自然から感じ得た音、色彩、リズム、構成、光。刻一刻と移りゆくそれらを刻むようにして描いています。

絵具をもって自然を刻む。作品をもって世界を創る。今この時、この世界に対峙し、今しかつくれないものを残していきます。

先日私はSavernake Forestとストーンヘンジに行きました。自然がつくり出す無限と、その宇宙感に圧倒されました。それらを表現したかった私はいざ画面に向かう際に、いつも私が描く際に構築していこうとする「形・シルエット」を使う必要性を感じなかった。
それは色彩と線のみになっていったのでした。
無限の色彩と、腺的構成、そして絵具の持つ物質としての質量はまさに宇宙であり、極端に現実的です。そしてそれは私をどこまででも羽ばたかせてくれる。其れが今回の抽象画シリーズに集中した理由です。

絵を描く時、私の存在を許容してくれる場なら私はどこへでもいけます。
絵画はまさに絵画であるのだから、それを認め、表現者としてのさらなる高みへと向かいたいのです。対峙するものと、私との間に発生する破綻と構築。存在としての拮抗。

それは現在に限らず、過去あるいは未来であれ限り無く、自由なのです。