アンセルム・ライラ個展

“INTO THE VOID”

2013年09月21日 – 2013年10月18日
レセプション:2013年09月21日(土)18:00〜

協賛

©2013 Atelier Anselm Reyle

タイトルの「INTO THE VOID」は、イギリスのロックバンド、Black Sabbathの名曲のタイトルに由来し、ライラがここ何年か温めてきたものです。

アンセルムはノスタルジックなファウンドオブジェを使用し、ネオンカラーなどの強烈な色使いをした作品が特徴です。 都会でよく見かける素材である反射するシルバーのホイル、車の塗料、アクリル、 鏡、メタル素材など既 存のマテリアルに、蛍光塗料やネオンライトなど、ある意味「違和感」を与える素材を組み合わせることによって、それらを本来の用途から解放、新たな意味とコンセプトを加えて蘇らせます。

今回の個展では、クラシカルなタイプの作品だけでなく、壁一面消化器を噴射した大胆なペインティングや 、レーザーライト、廃材などで仕上げた作品も展示されます。既存のマテリアルが華やかに演出される事で、強烈なアンビバレンスと無限の可能性を感じさせ、見る者の想像力を掻き立てます。

中野ブロードウェイにある Hidari ZingaroOz Zingaro、Kaikai Zingaroの3店舗を使用してキュレーション展も同時開催。

そして9月22日に行われる GEISAI#19 では、アンセルムが審査員としても登場いたします。

アンセルム・ライラのステートメント
INTO THE VOIDは、私の日本での初めての展覧会です。これは、村上隆との密なコラボレーションにより作り上げられたものです。私たちは中身の濃いディスカッションを重ね、その中で隆は私に今回の展覧会では何か新しいものを創り出すんだという自信を与えてくれました。隆とアイデアをやりとりする中で、それぞれがスケッチを出し合いました。

最初に、隆がカイカイキキギャラリーでの展示をしないかと申し出てくれた時、まず私が東京に来てギャラリースペースを彼と一緒に視察して欲しいと言われました。この旅がいかに重要なものだったかということは、旅の後になってやっと知ることができました。

到着後、まだこの大都会の第一印象に浸っている中、すぐに私は隆と彼のアシスタントの何人かと一緒にギャラリーで会いました。私たちは畳の部屋で一緒に座って話をしました。 隆は、私の作品をいくつか所有してくれており、それは私の作品をとても評価しているからだと話してくれました。しかし、残念なことに、私の作品が何であるのかをわかっていない、できるならば、それを説明してくれないかと言いました。私はこの単刀直入な質問に動揺し、口ごもってしまいました。驚いたことに、隆はその様子から何かを悟ったようでした。そして、私の作品をとても気に入っている理由がようやくわかったのだと言いました。

隆の作品と同じように、結局のところ作品の本質は何も無い、「無(Nothingness)」、「空(Void)」というのが作品の意味なのだと言って、隆はそのことに胸を躍らせていました。隆は困惑している私に、次の日、是非、伊勢と京都に行き、神社仏閣を訪れるべきだと言いました。そうすれば、もっとよく理解できるだろう、と。

翌朝、ほとんど眠れないまま、早速、隆のアシスタント達と一緒に伊勢神宮などを訪れる旅路につきました。その旅を通して、昨日の隆との会話がとても大切であったことに気づくことができました。その一日は、本当に新しい発見がたくさんあり、そして少しだけ、「無(Nothingness)」、「空(Void)」に近づけた気がするのです。