AYA TAKANO 作品解説

 

「銀河の神話よりも長く
alternative future」

AYA TAKANOによる作品の解説


「現在」のジオラマ


「現在」のジオラマには杉などの針葉樹林がたくさん生えています。
戦後直後に国が木材を得る目的で全国にたくさん植えたらしくわたしの父も植えたことがあるそうです。
でもその木たちは結局つかわれず外国の安い木材がたくさん輸入されました。
外国をはげ山にして自分たちの山は暗い杉山になりました。
暗い森では実のなる木は減り、動物たちの食べ物はとても減りました。
地面や海岸は塗り固められて 海沿いには工場があってビルや高速があります。
海沿いにはテトラポットやタンカーがあって、デコトラも走っています。


制作の際のスケッチ




「未来」のジオラマ


「未来」のジオラマでは広葉樹林が増えたので動物の食べ物もたくさんあって森が明るいです。
日本は葦の原だったらしいのだけど、埋め立てされた地は減り葦と水路と川と砂浜が復活しています。
広葉樹林のある、動物たちがたくさんいる豊かな森から流れてくる土壌の栄養がないと海は豊かにならないそうです。
広葉樹林は根を深く張るので土をよくホールドして地滑りも減るそうです。
葉の見た目もふかふかしてていろんな色で、季節ごとに変わっていってかわいいとおもいます。
棚田があって、自分たちで考えて作った変な家とかがあります。
「未来」という絵にも描いてあるのですが、左端には’古いガラス’だけでできたドームや、ベニヤと茅葺でできた家、現在の普通の家を組み合わせたものが建っています。
帆船が走ったり鯨がいたりします。
元あったビルは利用されて中でテントを建てたりして暮らしている人もいます。


制作の際のスケッチ




ジオラマを制作して下さったのは以下の方々です。


株式会社マーブリング・プランニング
岩城 南海子(いわき なみこ)
鈴木 大河(すずき たいが)


株式会社マーブリングファインアーツ
柏川 虎太郎(かしかわ こたろう)
濵田 慶子(はまだ けいこ)




現在, 2024,
キャンバスに油彩,
1302x3240x30mm


現在は道路がアスファルトで塗り固められていてそこに記号がたくさん書かれている。
かつての土着の文化だった祭りの面影が、数少なくなったデコトラ(レトロな装飾のついたトラック)に反映されている。
つるつるの建物の服やさんがたくさんある。 それを買うとみんなかなりうれしい気持ちになるようだ。
山は謎の滑り止めみたいな四角いコンクリートであちこち固められている。
空や雲や海や木はいつでも巻き返せることを知っているし無限のエネルギーと魅力を持ってずっとそこにいる。
彼らともっと近くで生きることがほんとうにとても楽しいことなんじゃないかとおもいます。




国道文化、コンビニ食、電子の記号, 2024,
キャンバスに油彩,
1621x1302x30mm


国道沿いは日本中どこにいってもおんなじお店がたくさんあります。
みたことのあるラーメン屋さんやお寿司屋さんや服屋さんや中古のものを売るお店などがずっと並んでいていったい自分がいま日本のどこにいるのかわからなくなります。
それを眺める人たちのあたまの中は電子の記号でいっぱいです。
でも空はかろうじて見える。 雲が無限に姿を変え続けていて月は満ち欠けを繰り返していて虹が美しく呼んでいる。




ニャンロボの海辺, 2024,
キャンバスに油彩,
2274x1817x35mm


じぶんはあんまり好きじゃない、ていうかぜんぜん好きじゃないファミレスというところに連れて行かれたとき、ニャンニャンの顔をしたロボットがご飯を運んでいてとてもおどろきました!わたしは手塚治虫先生の火の鳥に出てくるロビタというロボットが大好きなのですが、その姿にそっくりな上にニャンニャンの顔をしてて語尾も「〜ニャン♡」でとても愛しくなりました。
各店舗でその子たちにそれぞれ名前をつけたりしてセロテープとかで名前を貼っているのをみるとみんなやさしいんだな、とかんじて切ないです。
アニミズムの精神で、ニャンロボにも愛を注ぎたいです。




波打ち際、いま, 2024,
キャンバスに油彩,
1941x1302x30mm


私たちの国の海辺にはたくさんテトラポットや壁があります。
そこで生きる子たち
日本のグラフィティは西洋のまねばかりなのがつまらないので日本画とか書が描いてあるといいなあとおもって描きました。
コンビニのおやつも、善も悪もない状態で共にいる




ドラッグストア、光, 2024,
Oil on canvas,
971x1302x25mm


夜、車でドラッグストアへ行くと車のライトがガラスにつよく反射する、それを見ると少しへんなきもちになります。
コンビニのときもそうです。自分がこんなにつよい光を発して走っていることに気づいてこわいようなうれしいような少しいやなような切ないようないろんなきもちです。
ドラッグストアの中からもたくさんの光が出ていてストアに掲げられたたくさんの記号を照らして外に知らせている。




光を飲んでるみたいとおもって, 2024,
キャンバスに油彩,
1941x1302x30mm


ペットボトルはぜんぜん好きではないのですが、どうしても喉がかわいてけっきょくよく飲んでしまいます。
ペットボトルの水を夜に都市で車の中とかで飲むと、ひかりがたくさん中で光っていてひかりを飲んでるみたいってよくおもいます。
そういうときはすきじゃないペットボトルも都市もとくべつなものみたいにかんじられます。
ペットボトルも都市もわたしたちも共に生きている。




未来, 2024,
キャンバスに油彩,
1302x3242x30mm


渋谷にあった川はかつて「春の小川」という、うつくしく親しみぶかい自然を描いた童謡のモデルとなった川だったとききました。
今は暗渠になってスクランブル交差点の地下にあるとききました。
全部外に出してあげたい。日本はたくさんの場所が葦の原だったとききました 古(いにしえ)の時代にはたぶん草ぶねで移動していたんじゃないかと思いました。布を作るためには綿花栽培のためにとんでもない面積が必要だとききました。 無理な形で服を作りすぎるせいで途上国と呼ばれる国の土地が毒に汚染されているとききました。 みんなそんなに服が必要なんだろうか。 遠い土地を毒で汚してまで家は勝手に考えて作るものが増えてるといなあとおもいました、左端には’古いガラス’だけでできたドームと、ベニヤと茅葺でできた家と、現在の普通の家を組み合わせたものが建っています。
未来には、川は全部外に出ていて葦の原は復活して布はかつて生産されたものを加工して着る生活になっているといいなあという希望を描きました 大量消費時代のシンボルが布に散らばってます。
左の空に浮いているのはチャクラのマークと、人間の元になった単細胞生物とミトコンドリアが共生した瞬間です。
頭上運搬も蝶道も鳥たちの道もいろんな生き物の生活も復活するのをめざしたいです。




友だちにしてあげる伝統医療, 2024,
キャンバスに油彩,
1302x971x25mm


ともだちどうしで鍼をしたりお灸をしたり、しかも野外とかで自由にできたらほんとうにきもちいいしさいこうだとおもいます。
伝統的な医療は違法とかにしないで毎日の暮らしに取り入れていってぜんぜんいいとおもいます。
わたしは村上さんに教えてもらった鍼の先生のところにほんとうに困ったときに行ってすぐに治ってとてもおどろきました。
わたしの日本舞踊の先生もお膝を手術しないで治していらっしゃいました。
自分たちの伝統があるのに、西洋医学のみ礼贊するのはかなり偏っているとおもいます。




未来の収穫のかえりみち, 2024,
キャンバスに油彩,
1940x1302x30mm


彼女は家から少しはなれたところに農園を持っていて、かつて存在したアニメとかのいろいろな服をつなぎ合わせて浴衣にしています。
浴衣なのは気候に合っているからです。
いろんな動物と共に暮らしています。この絵では季節が秋なので秋の収穫物とともだちの動物たちをのせています。
ドラゴンフルーツを食べています。
綿花もじぶんで育て収穫していて、布を作れないかとおもっているところです。




未来の田植え, 2024,
キャンバスに油彩,
1302x971x25mm


機械化される以前の田植えの絵をみていると、かわいい衣装を着た歌と踊りの人たちが田んぼの外にいっぱいいて、カラフルですごく楽しそう。
田植えのときのみんなの衣装もかわいくてとてもおしゃれ。
宮本常一さんの本を読んだりするとみんなでおしゃべりしながら農作業をしていて、おばあちゃんとかも無邪気な下ねたを話題にしたりしててめちゃくちゃ楽しそうです。
わたしも2年前くらい前から千葉で50noenさん(キュレーション展に出てくださっています!)というところで無農薬無肥料の田んぼを持たせてもらって植えたり刈ったり見に行ったりしているのですがなその満足感があって、いろんな生き物が無限にいてとても楽しいです。
お庭でも畑をしています 絵を描いている間はほぼ放置してしまっているのですが‥
もしかして農作業とか身近なものをつくることってどんなあそびよりも楽しいんじゃないかっておもってきてます。




川遊びの復活、未来, 2024,
キャンバスに油彩,
1302x971x25mm


かつて日本の川でもありえない量の人たちが川で遊んでいました。
関東圏にあるようなおおきな川もはやくきれいになってもらって、川遊びを復活させたい。
この子たちは川の中でドリアンを皆でシェアしています。




ネイチャーイズカミング(もう抑えきれない), 2024,
キャンバスに油彩,
1620x1942x30mm


自然が復興したがっているとかんじます。
今にもどんどんでてきそうで、それを落ちついてゆっくりいこう、と押しとどめている子たちです。
たのしいことが今にもおきそうでみんなが期待に溢れている。



動物園は絶対になくす, 2024,
キャンバスに油彩,
1000x803x25mm


ある日動物園で白いるかと神秘的な体験をした。
彼女はずっとわたしと目を合わせながらを行ったりきたりしていた 五感全てを使ってコミュニケーションを取っているみたいにかんじた。
幸せに野生で暮らす動物を連れ去って作るような動物園はぜんぶなくす、と彼女と約束しました。


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