バーゼル渡航を終えて

田中伶


今回バーゼル渡航を終えて、重要だと感じた事が3つありました。

1.コミュケーションについて
ライブペイントをしている時に何度も異国の方々とコミュニケーションをとる機会がありました(自分にとっては新鮮でした)。異なる言葉を使う方とお話するときは、ジェスチャーを加えてなるべく笑顔で対応したら、ぎこちなくても会話が続いてとても楽しかったです。自分の絵の説明をするときに、いくつかの単語を英訳して覚えておくだけでも伝わり方が全く違いました。

2.作品のコンセプトについて
バーゼル アートフェアではテーマが明確に分かるような作品が多く、一目見ただけで“死”や“差別”、“性”等どこに訴えているのかが不勉強なりにもすぐ把握できました。テーマがすぐ分かることによって作品を深読みしてとても楽しめたりと基本的な事ではありますが絵の描き方についてとても参考になりました。

自分だとボンボンというキャラクターを利用して、そこからの脱却であったり過去にあった出来事を絵に絡めたりするのかなと考えたりしました。芸術闘争論にも書かれていた絵に組み込まなければならない要素(圧力や構図等)についての本当の意味が少し分かってきたような気がしました。

3.自分は多くの人に支えられている
そして最後に今回のバーゼル渡航で一番大切だと感じたのが「人から支えられて生きている」ことへの実感でした。現地ではカイカイキキのスタッフさんにサポートされ、絵の説明をする時にも全部通訳をして頂いたりと、一人では到底出来ない事がたくさんある事を身をもって実感しました。自分の絵が売れる瞬間を初めてみたのですがそれはたくさんの人々の力が加わった結果でもあります。それを理解して、もっと良い絵を描きたいと感じましたし、責任とはどういうものなのかが分かったような気がしました。

田中伶