バーゼル渡航を終えて

げみ


今回スイスのバーゼルという土地に初めて足を踏み入れ、たくさんの人々とコミュニケーションをとる事が出来て、自分の作品も見て頂く事ができました。海外は何度か行った事はあったのですが、自分の作品を見て頂いたことはなかったですし、お話する機会すらなかったのですべての体験が非常に新鮮でした。

この渡航で得たものは本当に多く、海外への憧れなども強くなりました。 何より海外の方々のアートへの関心、興味の高さには非常に驚かされましたし、バーゼルアートフェアという大舞台で展示される作品の迫力はケタ外れでした。迫力が物凄いのにも関わらず作品ひとつひとつのクオリティが高すぎて落ち着いているように感じました。作品1つへの拘り、それに伴う時間、コンセプト全てが凝縮されたたくさんの作品はほんとに見応えがありました。

しかし今の自分の為になったのは今回参加させて頂いたVOLTAで得たモノの方が強かったような気がします。絵具を使いライブペインティングをしたのは今回が初めてで、しかも初めての大きさへの挑戦でした。本当に絵5日間で描けるのか不安でした。ですが現地入りした日、カイカイキキスタッフの皆さまが、初めてお会いしたにも関わらずとても親切にしてくださり、とても安心した気持ちになりました。

なにより自分たちの作品ひとつひとつを丁寧に設置し、すべての作品のコンセプトを翻訳、記憶し、プレゼンテーションの練習をする姿を初めて見て、「ここで本当に何か結果を残して帰りたい」と強く思っていました。

今まで何度か海外のアートフェアに参加させて頂きましたが、どれだけのたくさんの人々が自分の作品の為に係わってくださり、しかも販売してくださっているのか全く見えていませんでした。今回その姿を見る事が出来て、本当によかったですし、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

ライブペインティング中は、多くの方々が足を止めてみて下さり笑顔で話しかけてくれました。自分の作品を見てくださる時のお客様の目は本当にキラキラしていてとても笑顔でした。その顔を見るのが本当に嬉しくて、もっと見たい、その一心で作品を描いていました。時にはインタビューを受け自分の作品のコンセプトを話し、それがすぐに記事になったり、ネットに公開されたりしました。すべてが本当に初めてで、絵を描く時の精神状態としては非常に良く、テンションが上がりっぱなしでした。

3日目の昼過ぎ、ライブペインティングをしている時一組のご夫婦が、僕の作品をご購入してくださいました。ご購入してくださった海外の方とお話するのは初めての経験でした。本当にいいご夫婦で積極的に話しかけてくださり笑顔で答えてくれました。そして絵具まみれの自分の手をグッと握って握手してくれました。日本に少しの間住んでいたそうで、日本語でお話もしました。その後ライブペイントの前で3人一緒に写真を撮って、最後は手を振りながら自分の作品を持って帰って行きました。何度も振り向いて手を振ってくださる姿を見て本当に感動しました。僕はもっと絵を描いて色々な人に見て貰いたいし買って頂きたいと本当に強く感じました。それと同時にコミュニケーションの大切さは非常に実感しました。言葉の通じない外国で僕たちの持つコミュニケーションツールは作品のみで、言葉が無く、もっとお話したいのに出来ないのが悔しくて、言葉の必要性をさらに感じました。自分の作品の話やコンセプト、見てくださる人々への想い、感謝その全てを自分の力で伝えることの出来ない無力さ、悔しさを非常に実感しました。かなりの時間は必要ですが、少しずつ話せるように勉強していきます。

最後に作品についてですがやはり悔しさがのこりました。力いっぱい描きました。海外の人々は皆さん感動してくれました。でもやっぱり僕の絵は下手です。特に人物と構図の取り方が下手で力の無さを実感しました。コンセプトも大事ですがもっとモノ自体のクオリティや、作品としての良さをもっと向上させたいです。それにはやはり枚数を描くしかないと思いました。絵に触れてきた圧倒的な時間の少なさを補うには練習しかないのだとおもいました。もっと表情豊かで可愛くてコンセプトに合うようにエロさを出しつつ、落ち着いた美しい絵を描けるよう練習を続けていきます。

げみ